真面目すぎる人のなかには「自分に自信を持てない」という人が少なくありません。
客観的に見て高い実力を持ち合わせている人であっても、本人からするとなぜか自分に自信がないのだというのです。
どうして真面目すぎる人は自分に自信を持てなくなりがちなのでしょうか?
それは、完璧さを追求するあまり、減点思考で物事を考える習慣ができているからだと思います。
他者の評価を常に気にするあまり、少ししたことで不安がつきまとう心理状態に陥りやすくなっているのです。
例えば、会社で商談を控えているとします。
多くの人は、相手に失礼のないよう商談を進めることができれば十分だと考えます。
しかし、真面目すぎる人はそうではありません。
「完璧な商談をこなすべきだ」と考えてしまいます。相手に最高に居心地よい時間を提供し、軽快なトークをし、サプライズともいえる高い地点で契約を結ばねばならないと考えるのです。
それは一見すると、ハイパフォーマンスな仕事をする上で非常に有効な考え方だといえるかもしれません。
しかし、人間の能力には限界がありますし時間は無限にあるものではなりません。
やる気や意欲はあっても、思い描くように完璧な未来を構築するのは困難なことです。その現実を認識したとき、真面目すぎる人は、不安でおしつぶされるように感じてしまいます。
なぜなら、理想と現状との落差を実感し、その克服すべき課題の多さに圧倒されてしまうからです。
そうなると、「もしミスをして上司に叱られたらどうしよう・・」「自分にこの試練を乗り越えることはできないかもしれない」といったように、不安が増幅し、どんどんものごとを暗い方向に考えてしまうようになります。
そして自分自身をさらに過小評価し思考がますます内向的になっていくのです。
その結果、真面目すぎる人は、不安に押しつぶされそうになりながら試練に挑むか、その試練から逃げることを考えてしまいます。
前者後者いずれも、人間が心の平安を得るという意味では理想的な状態であるとはいえないでしょう。
とりわけ後者の場合、せっかく能力や素晴らしい才能を持ち合わせていても、それを生かす機会をみすみす逃してしまうことにもなりかねません。
では、真面目すぎる人が自分に自信を持ち心のゆとりを得るためにはどのようにすればよいのでしょうか?
それは、不安が生じたらそれを「プラスに捉えることはできないか?」と自問する習慣を持つことだと思います。
ことあるごとに「失敗するかもしれない」「自分には乗り越える能力がないかもしれない」といったように否定的に考えず、プラスな面を見ることを意識してみるのです。
例えば「そのように不安になる自分は、危機管理能力が高いすばらしい人間なのでは!?」と考えてみてはどうでしょうか?
危機管理能力が高いということは、それだけ細かい点にも気が付くということ。相手の期待値を超えるハイパフォーマンスの仕事を完成できる可能性に秘めているともいえるのです。
この点は他者にはない大きな魅力であるととらえることができると思うのです。
真面目すぎる人は、自分が描く理想像と現状を比較し、足りない部分を真っ先に探そうとするから不安になり自信を失うのです。
ですから、そのようにネガティブ思考に陥りそうになる前に、現状をプラスに捉えることを意識するとよいのです。
「ひょっとしたらこれって長所ではないのか?」「何か良い要素があるのではないか?」といったように、不安でいっぱいの状況下でもプラス思考でものごとを考えてみる。
多少こじつけでもよいからプラス思考で現状を捉えることができればあとは、準備をして行動あるのみです。
実際に行動に移す段階になれば、不安が解消されていくことも多かったりします。というのは、「不安」という心理状態は、先が見えなくてものごとが整理して考えられない状態にすぎないからです。
それが行動をすることによって、未来に向けた解法を思いつくこともしばしばあるものです。
視界を覆っていた霧が少しずつ晴れていくに従って、未来への見通しが自然と立ってきて、心のゆとりが生まれてくることでしょう。
自分に足りない部分を探す減点思考から、プラスのことを探す加点思考に思考回路を少しづつ変えていくことが重要です。
その習慣が形成されれば、心にゆとりが生まれ、揺るぎない自信が生まれてくるのではないかと思うのです。