何か新しいことに挑戦するとき、いつも不安でいっぱいになる方はおられませんか?
新しいものごとに取り組むとき、人によってはそれをチャンスだと前向きに捉える人がいれば、また一方では、「失敗するに違いない」と後ろ向きに考える人がいます。
前者の場合、積極的にどんどん新しい道を切り開いていくことができるのかもしれません。ただ、後者の場合、悩んでいるうちにせっかくの機会を逃してしまうことが少なくありません。
後者の人はどうして、未来のことに対して「失敗するに違いない」と断定的に考えて不安を抱えこんでしまうのでしょうか?
それは、失敗することによって周囲からの評価を落としたくないという気持ちが人一倍強いからだと思います。
その気持ちは決してマイナスなものではなくむしろ高い能力であると私は考えます。なぜなら、新しい挑戦することに対して不安を多分に感じるということは、「周囲の期待に応えたい」という気持ちの裏返しであるとも捉えられるからです。
実際のところ、失敗を過度に恐れる人は、いざ追い詰められて挑戦せねばならなくなったとき、無類の力を発揮します。そして結果的に、抜きんでて優れた結果を残す人が多いのです。
それは、周囲からの評価を落としたくないがために、火事場のクソ力ともいえる力が働くからです。懸命になって打開策を講じるからこそ高い成果を残せるというわけです。
ですから、新しいものごとに挑戦することが怖くなる人は、高い危機意識を持っている証であり、高い能力を備えているといえると思うわけです。
ただ、いささか問題なのは、「周囲からの評価を落とすのが怖い」という動機を行動の原動力にしていれば、せっかく高い能力を持ち合わせていてもそれを生かせないことにつながってしまいがちだということです。
失敗しないためには「行動しない」という選択肢をとってしまうのが合理的な判断だともいえるからです。
また、他者からの評価を気にしてばかりいては、周囲の声に常に一喜一憂しなければなりません。
その結果、精神的に疲弊してしまうというデメリットにつながるとも考えられるわけです。
新しいものごとへの挑戦を妨げる「必要以上に強すぎる危機意識」、一体それはどのように考えれば抑制することができるのでしょうか?
それは、「想定されうる失敗をプラスなものに解釈する」という手段が有効だと思います。
新しい挑戦することに不安でいっぱいになる人は、最初から「失敗したら周囲の評価が下がる」という風に断定的に考える傾向があります。
それは、もともと失敗しないように慎重に生きてきたがために、失敗をした経験が少ないからだと思います。
失敗をしたらどうなるか分からない。だから、実際のそれよりもはるかに大きいリスクが待ち構えているというように捉えてしまうのです。
ですから、「必要以上に強すぎる危機意識」を抑制するためには、「失敗したらどうなるのか?」ということについて、落ち着いて分析的に考えてみることが必要なのだと思います。
例えば、新しい会社に転職したいけれど、不安で一歩を踏み出せないという人がいるとします。そんな人の場合、どう分析すればいいか考えてみたいと思います。
おそらく、その人は、転職試験を受けて不採用になるかもしれないことや、新しい会社に入社して失うかもしれないことなどを不安要素として感じているはずです。
そういった不安要素を思いつく限り、まず紙に書き出してみましょう。例えば次のように。
①「もし不採用になったら、自分の能力が否定されるように感じるかもしれない」
②「もし不採用になったことを家族に知られたら恥ずかしいな」
③「もし不採用になったら、面接や履歴書作成で使った時間とお金の無駄になる」
④「転職先で自分に合わない上司がいたら最悪だろうな」
⑤「転職先の仕事で自分がする能力がなければ惨めな思いをしそうだ」
⑥「転職先の仕事が、もしキツイ仕事なら嫌だなあ」
その上で、それぞれに対する「反論」をプラス思考で書いてみましょう。例えば以下のように。
①「不採用になったら自分の能力が否定されるように感じるかもしれない」
→採用試験はその会社に合う人材かを判断する試験だ。その人の能力を
はかるものではないか?
②「不採用になることを家族に知られたら恥ずかしい」
→家族の大黒柱として果敢に挑戦する努力はむしろ評価してくれるのではないか?
少なくともじっくりと説明したら分かってくれるに違いない。
③「不採用になったら面接や履歴書作成で使った時間とお金の無駄になる」
→自分の将来を考える良い機会になったと思えばいいのではないか。また、
失敗談は今後、話の種に活用できるかもしれない。
④「転職先で自分に合わない上司がいたら最悪だ」
→将来のことは誰にも分からないから必要以上に悩んでも意味がない。
素敵な上司に巡りあえるかもしれないじゃないか。
⑤「転職先の仕事で自分がする能力がなければ惨めな思いをしそうだ」
→もしそうなったとしても、その仕事は自分に合わないと分かるだけでも
長い目で見たとき、収穫ではないだろうか。
⑥「転職先の仕事がもしキツイ仕事なら嫌だなあ」
→しんどい仕事はいろいろ自分を見つめる機会が多い。つまり、乗り越えたときに大きく成長をできるチャンスかもしれないよ
いかがでしょうか?少しは気持ちが楽になるのではないでしょうか。
要は、挑戦することに対して不安に思っている要素を片っ端に挙げ、それぞれをプラスなものに解釈していけばいいのです。
慎重にものごとを進めがちの人は、危機意識が人一倍強く、失敗を恐れます。また少しでも慣れないことをやろうとしたとき、「自分には無理だ」という風に結論付ける傾向が見られます。
しかし、想定される失敗を細かい要素に分けて分析してみると「意外と簡単にできるかも」と感じられるものです。
ただ、分析をしてもやはり「無理だ」と強く感じる場合、目の前にある挑戦は止めておいた方が無難だと考えるのが妥当な判断というケースもあります。