近年、柔軟性の高い人が企業では求められているという話をしばしば耳にします。
柔軟性の高い人は自由な発想や臨機応変の対応をできることから、さまざまな場面で企業の戦力になりやすいと考えられているのです。その一方、「柔軟性がない人」は今も昔も組織の厄介者として扱われがちです。
「柔軟性がない人」は自分のやりかたや考え方にこだわり、それを他人に押し付ける傾向があります。もしあなたの職場や家庭にそういった人がひとりでもいれば周囲の人間は苦心しているに違いありません。
柔軟性のない人の特徴と考え方の癖
ではそんな柔軟性のない人とうまく接していくためには、周囲の人間は一体どのようなことを考えればよいのでしょうか?
その前にまず押さえておきたいことは、柔軟性のない人は、とにかく極度の頑固者だということです。
例えばさまざまな正解がある問題があったとしても、自分の出した解答と同じもの以外は一切受け入れる姿勢を持ち合わせていません。
ですから、周囲の人間からすると、自分たちの考えを真っ向から否定されたように感じ、それが嫌悪感としてストレス蓄積につながりやすいのです。
柔軟性のない人はそういった性格柄もあり、組織の中で孤立化しがちです。
そんな状況は自身の性格に原因があると自覚はしているでしょうが、誰かに性格の難を指摘されたとしても、考え方を改めることは一切ありません。
なぜなら、柔軟性のない人にとって、自分の決めたルールのなかで物事を判断するというのは、その人の生き方そのものだからです。
自分のことを深く知らない他人にとやかく言われる筋合いはないと即座に反発し、周囲との人間関係の溝はますます深めていくことでしょう。
周囲の人間からすると、そんな柔軟性のない人は非常に扱いにくい厄介者だといわざるをえません。
自分がつくった独自のルールに当てはまらないものは全否定してくるわけですから・・。
さらに、柔軟性のない人は他者との間に精神的な壁を作っているため、自ずととっつきにくいオーラを醸し出しています。
もし何者かが自分のテリトリーに入ってきて、自分の決めたルール外の行動を起こしたら、すぐさま排除しようと身構えているわけです。
周囲の人間はどう柔軟性のない人と接すればいいか
ではそんなとっつきにくい厄介者とどのようにすればうまく交流していけるのでしょうか?
それは、まずは「その人なりの生き方を評価する」ということです。
柔軟性のない人は、一見すると芯が強くて大きな存在に見えるかもしれません。
しかし実は潜在的に不安を感じている弱い存在だったりするのです。
自分の考えややり方は譲れないという強い気持ちを持っていながらも、一方で孤立化を極度に恐れ、不安を抱いているというのが実態だと思うのです。
もし精神的に成熟した安定感ある人ならば、自分と異なる考えを持つ人が目の前に現れたとしても動じることは一切ないでしょう。
様々な意見を聞いて良い点は取り入れようという精神的余裕があるからです。しかし、柔軟性のない人は、自分のテリトリーに入ってくる者に対してあからさまに攻撃的な態度や言動を示します。
それは精神的に不安定であり、焦りと不安の渦中にあるからに他ありません。
自分が決めた独自ルールは一切変えられない。しかし、本音はそんな自分を認めて評価して欲しいと考えている。そんなジレンマのなかでもがいている不安定な存在だということがいえるのではないでしょうか。
周囲の人間からすると、柔軟性のない人がとる行動や言動は、腹立たしいものだと映るに違いありません。
ただ、その怒りをそのままの形で口に出してしまえば相手と口論になるだけです。
ですから、その反発したい気持ちはひとまず抑えて、まずは歩み寄るといいますか、「共感の姿勢を示す」のがベストではないかと私は思います。
いくら孤立化していようが、その人なりに懸命に生きているわけですから、まずはその生きざまを認め評価してあげるのです。
例えば、「部長が細かくミスを指摘してくれているお陰で、今月も目標を達成することができました。ありがとうございます」みたいに。
その人のおかげで助かったといった論調で感謝の気持ちを相手に伝えるのです。もちろんお世辞で言うわけではなく、心からそう思えるプラスの点を探したうえで相手の「良い点」を褒めるのです。
すると、相手は「自分を認めてくれた」という風に認識し、心理的距離は一気に縮まると思うのです。
そういったことを何度か繰り返しているうちに、相手の警戒心が解け、立ちはだかっていた精神的障壁も取り払われていくはずです。
そのとき、初めてこちらが本当に言いたかった意見を相手にぶつけるのです。すると相手は警戒心が解けている分、以前より随分柔軟な態度で対応するはず。
場合によっては、「そうだな。君の意見も一理あるよな」みたいに、意外と聞き入れてくれたりするものです。
柔軟性のない人は、一見するととっつきにくい性格の人であるかもしれません。しかし少し視点を変えてみると「考えがぶれず一貫している」「真面目で堅実だ」といったようにプラスに評価できる面もあるのです。
それをできるだけ多く見つけ褒めてあげること。そうすることで、柔軟性のない人も態度が軟化しうまくコミュニケーションをはかれるようになると思うのです。