客観的には優れた面がたくさんあるのに「自分は不幸だ」と嘆いている人が世間には多くいます。特に日本人にはその傾向が強いといわれています。
自分は不幸だと嘆く人の心理とは
「自分は不幸だと嘆く人」が嘆く理由はおそらく、他者と比較して自分の価値を決める思考回路を持っているからだと思います。
例えば厳しすぎる親からの躾や受けた教育などで、周囲の人間と比較して自分の価値を相対的に決めることが習慣化されている。
そこに自分を卑下して考える要因があるのではないでしょうか。
自分が幸せかどうかを決める基準が、他者と比べて上か下かというものならば、生活を送っていてしんどくなってしまうのは当然だと思います。
なぜなら、あらゆる面で常に他者より優れている状態を保つことは難しいからです。
他者と比較して自分が上だと認識したときはその状態を保っていけるか不安になり、劣っていると思ったとき、劣等感を感じなければならないからです。
その思考を繰り返していれば、楽観的な人であっても精神的に不安定な状態になり、いつしか自己肯定感が低くなってしまいます。
それは、その人にせっかくたくさんの魅力や素晴らしい可能性があったとしても、それらには目がいかず、自らその芽を摘んでしまうという状態につながります。
過度に競争を強いる社会では人は幸福感を感じにくくなる傾向があるといわれています。
もちろん、他者と競って切磋琢磨するなかで向上していく場面は必要でしょうが、あまりにその機会が多すぎると、心の平安を得るのは難しくなるということです。
なぜなら、他者を基準に自分が幸せか否かを決めていると、人はどうしても欲張りになるからです。
他者の持ち合わせているものが欲しくなり、それがない自分は満たされていないと考えてしまいやすいのです。
少々努力を重ねても叶わなければ「私には能力がない」「俺は運が悪い」という風に考えてしまい、その結果「自分は不幸である」と結論付けてしまうのだと思います。
そして、他者が持ってて自分にないものを見つけてきては「自分には欠けているものがあるから幸せになれない」と決めつけてしまうのです
他者との比較をやめ心の平安を得るためには
では不安定な心理状態をどのようにすれば解消できるのでしょうか?
それは、自分自身が持ちあわせているもののなかで「これがあるから他に何もいらない」と自信の持てるものを意識することだと思います。
人間ですから人それぞれ足りないところや欠点はあることでしょう。それらに目を向けていてもキリはありません。
そうではなく、「これがあるから他に何もいらない」というプラスのものを何かひとつ決めて、それを一日のなかで何度も何度も繰り返し想起してみればいかがでしょうか?
例えば、
「自分を考えてくれる家族がいる」
「快適な家に住んでいる」
「心から楽しめる趣味を持っている」
「素晴らしい友人がいる」
「かわいいペットがいる」
「大好きな曲がある」
「自分にしかできない特技を持っている」
「所属している会社や組織に誇りを持っている」
「自分のしたい職業につくことができている」
「かけがえのない思い出を持っている」
などなど、なんでも良いと思います。ポイントは、自分が自信を持てるもので、かつできるだけ希少価値の高いものが良いと思います。
できれば自分ひとりだけが持っているようなものがあればベストです。なぜ希少価値が高いものがよいかというと、比較対象が少ないということは劣等感を感じる機会も自ずと少なくなるからです。
自分だけのものといえば、「過去においていちばん嬉しかった思い出」みたいなものでも良いと思います。思い出なら世界中で自分ひとりだけしか持っていないものですし年月が流れても不変のものですから。
それを何か決めて、うまくいかないことがあったときや自分に自信を失ったとき、繰り返し意識してみるようにするのです。
そして、「これがあるから他に何もいらない」と考えることで、欠点がある自分自身を受け入れることができるようになります。
その結果、心が安定して徐々に幸せを感じる機会が増えていくのではないかと思います。
幸せの種をたくさん持っているのに不幸だと感じる原因は、無意識のうちに欲張りになっているからです。
もちろん向上心を持って新しいものを得ようとすることも大切ですが、それだけに終始するのではなく、自分の持ち合わせているものだけで満足する。その欲のそぎ落としこそ、人が幸せを感じて生きていくための重要なポイントではないかと思います。